一斉避難の部
令和7年10月26日(日曜)8:50 巨大地震発生を想定。
訓練に参加した皆さんは、自宅近くの一時避難場所に出たあと各自治会集会所等へ避難。
そして、歩けない人を地元集会所等に残し、小学校まで徒歩で避難しました。
(雨の中ご苦労様でした)
避難所開設の部
8:30 一般の参加者とは別に全98名の皆さんが、小学校に集合。
この方たちは、開設手順別に事前訓練を受けた受命者です。
開設リーダーから手順カードを渡され作業の指示を受けました。
手順1 リーダー決定/開設開始
手順2 発電機と投光器の設営(訓練日は未実施)
手順3 最初の待機場所に誘導
手順4 安全点検未了建物への立入禁止処置
手順5 施設内の安全点検
手順6 受付場所の設営
手順7 受付、公民館への誘導
手順8 事前(保健)受付
手順9 トイレの準備
手順10専用スペースの準備
手順11一般避難スペースの準備(訓練日は受講体験コーナー運営)
手順12総合受付
手順13ライフライン確認(訓練日は未実施)
手順14市本部連絡(訓練日は未実施)
手順15本部と班の編成(訓練日は未実施)
「避難所利用者登録票」の記入
9:20見事に入所受付開始。
写真は、玄関近くの赤いゼッケンが手順8事前受付(体温測定)、
手前黄色ゼッケンが手順12総合受付②番案内。
避難者は、ここで「健康状態チェックカード」「避難所利用者登録票」を記入しました。
「③総合受付」
避難者は、「健康状態チェックカード」「避難所利用者登録票」を提出し、
「番号カード」をもらって入所完了。
(上の写真)
受講と体験の部
ここからは避難所開設とは別目的で、
Aコーナー(一次救命処置講習)
Bコーナー(断水トイレ対応体験)
Cコーナー(ベッド組立体験他)
のご指導を受けました。
今回の参加者のうち、中学生以下の子ども達が97名いましたので、将来の防災が一層に楽しみになります。
次の写真は、Aコーナーからみた体育館内の様子
心肺蘇生とAED使用を学びました。
9:30~11:00人形40体を使用して講習していただきました。
10:00~11:15テントトイレ4基を使用し体験させていただきました。
4名の防災士の皆さん、ありがとうございました。
10:20~11:40組立と解体作業の体験をさせていただきました。
5名の職員の皆さん、ありがとうございました。
寝てみて、背中の感じ、かたい?
次の写真:校舎入口にて「140グラム超の大きいおにぎり」1個と箸を渡されたあと、豚汁の給仕を受けています。
雨天のため、小学校廊下に腰をおろして食べていただきました。
「豚汁が抜群においしかった!!」
次の写真:炊出し部隊は、事前集計により、「おにぎり」500個、「豚汁」750食の製造を命じられました。(別に「おにぎり」250個は購入)
常磐総合コミュニティセンター調理室で奮闘されたのは、自治会女性部の中から炊出しに任命された方(小学校に近い方々は避難所開設手順に任命)と公民館運営協力委員会女性部の皆さん、子ども食堂の運営メンバーの皆さん、総勢35名の方々です。
子ども食堂運営のお陰で、食品衛生責任者2名が存在します。
以下の実施報告は、炊出し部隊の代表者より取材した内容です。
炊出し実施報告
前日14:00~16:00前まで2時間弱、21名で下準備。
当日8:00~10:19の2時間強、35名で仕上げました。
そのうち、「おにぎり」は、去る4月13日の試作を活かして、5升炊飯器5台を構え、8人体制の製造ラインを3列設営し、
1個当たり、140グラム(一人1個に耐える大きさ)を、583個を製造。
「もろぶた」12枚に収めました。
また、「豚汁」部門は、ずん胴ナベ7個+直径32cmナベ7個の中に、1食当たり250cc×750食を仕上げました。
具材は、一般的に多いピーナッツアレルギー材を第1に排除し、喉に詰める恐れのある「こんにゃく」をやめ「油揚げ」を代用しました。
豚肉は、38キログラムを要しました。これは、豚さん半頭分に相当します。
以上、代表者に伺いました。
炊出しの総勢35名の皆さんありがとうございました!
常磐総合コミュニティセンター調理室より、小学校まで運びます。
世話人不足となり、開設リーダーの方にお世話になりました。
下の写真:各集会所より、受け取りにきてもらいました。
全16カ所の集会所等への残留避難者は、全232人、帰宅した人もいて、
給食数は全223食を配給。
豚汁を入れたナベは、熱くなります。女性部より、段ボールを使うように指導されました。(いわれれば納得!普段、なかなか分からないことです。)
集会所等へ避難の部
情報連絡訓練の部
常磐地区(小学校区)は、4町(世帯2804、人口6157人、自治会員世帯1207、自治会員推定人口2650人、R7.2.1現在)のエリアに付、指定避難所となる小学校まで、歩いて避難できない要配慮者が多数存在します。また、訓練となれば一層に不参加が増えることは容易に想像できることです。
この為、地区内18カ所の集会所や自治会館に避難する訓練を並行しました。
訓練内容は、「避難所利用者登録票」の徴求、情報連絡訓練、炊出し給食受取訓練の3本柱としました。
集会所等の部:結果
・18カ所のうち、小学校に近い集会所等は個別避難の意味が薄れる等の合意から2カ所は小学校避難のみとし、16カ所の集会所等で実施済となりました。
・情報連絡は、自治会協議会のLINE公式アカウントに次の項目を送信し、自主防本部からは、炊出し給食の受け取り可能時間を知らせるという内容です。
送信項目と合計数
(1)集会所等の名称 16カ所
(2)代表者名 16名
(3)避難所利用者登録票の徴求枚数157枚
(4)避難者数 232人
(5)死傷者数 0人
(6)昼昼食の必要数 223食
集会所等の部:成果と反応
・LINE公式アカウントというインターネット通信を活用できたこと。
(スマートホンの普及が進んでいることを実感)
・避難する意義のほかに、コミュニティー意識に関する発言が多かった。
(久しぶりに雑談ができて良かったなど)
・炊出しの評価、特に「豚汁」が好評で、女性部への感謝と存在意義を認識できた。
・小学校の混雑ぶりが伝わり、避難現場の過酷さが認識され、指定避難所に行かなくてもよいように、集会所や自宅の備えを充実させようという話で盛り上がった所があった。
訓練参加数と「避難所利用者登録票」提出数を下表にまとめました。
総勢は、707人の皆さんに参加賜わりました。475人は小学校へ、232人は集会所等へ参加しました。
事前集計753人の93.9%の参加数です。
小学校への集合数実績475人は、事前集計531人の89.5%です。
避難所入所受付済の実績402人は、事前予定483人の83.2%です。これは、雨天とインフルエンザ等の影響があったと考えています。
お世話に専念されていて、受付に回れなかった人数も22人と名簿照合できました。
この22を受付実績に加算した424人が体育館と校舎で訓練し、35人がコミュニティセンター調理室で炊出しを行い、16人が指導者(校長先生・教頭先生・警察官・消防団長・日本赤十字社や県防災士会、市専門官)としてご尽力いただきました。
小学校で動いた424+16=440は、南海トラフ最大クラス被害想定数の3分の1相当数です。これでも、多人数を不快に感じた参加者も多かったと思います。是非、実際の発災時は避難所に来ないよう、ご自宅の家具固定など対策にご注力ください。
炊出し配食は、配食時間前に所用等で退出された方が61人存在したため、小学校内配食数は余裕十分となりました。
これも現場ならではの必要事項です。
各集会所等避難は、地区内16カ所に232人が参加し、炊出し配給まで滞在した人は223人でした。
「久しぶりに集まる機会となって楽しかった」「豚汁がうまかった」との声が多くかかりました。
222の予定数より10人多くなったのは、雨天の影響かと推察します。
避難所利用者登録票人数は、634人でした。受付事務の重要性をご認識くださるよう強く願いあげます。
所用時間
小学校
8:30 手順別受命者の集合/避難所開設訓練開始
9:20 開設手順作業完了/受付開始
9:30~11:40 A、B、Cの講習体験コーナー運営
10:19 小学校への炊出しの運搬開始/配食と食事の開始
12:04 撤収と清掃の開始
12:30 小学校の原状復帰完了
コミュニティセンター調理室
8:00 集合
10:19 炊出し完了
集会所等
丸山自治会館 情報着信9:42
丸中自治会館 情報着信9:37
丸西自治会館 情報着信9:39
中原公民館 情報着信9:25
村黒自治会館 情報着信9:13
小岡自治会館 情報着信9:42
植田原自治会館 情報着信9:18
植田上自治会場 情報着信9:56
植田大道自治会館 情報着信9:30
下中自治会館 情報着信9:53
植田四辻自治会館 情報着信9:43
田井自治会集会場 情報着信9:43
宮北自治会館 情報着信9:59
西下自治会館 情報着信9:44
出作町北自治会館 情報着信9:39
出作町南自治会場 情報着信10:09
訓練の成り立ちについて
(1)常磐地区において、防災の専門家は不在です。
(2)香川県地区防災計画策定促進事業に参画。
令和3年度自治会長20名の中に、「自治会員をどうやって災害から守ったらよいのか分からない」旨の声が多数であった事が、県の制度である地区防災計画策定促進事業に参加する契機となりました。
地区計画は、まず基本計画編として、「常磐の人々がこまらないように」を第1目的に、地域特性を巨大地震対応に絞り込み、次に、避難所開設編としての発災直後の初動対応を計画、そして、その開設訓練が、その後、各単位自治会に派生し深まることを期待しました。
(3)令和4年12月26日に「常磐地区防災計画素案」を観音寺市に提出。
この計画の実働訓練が第1回第2回避難所開設実働訓練、R7年度(略称)一斉避難訓練第3回避難所開設実働訓練に当たります。
(4)計画実証訓練の舞台化と合意形成。
訓練の具体化にあっては、常磐小学校区自主防災会の15名の理事各位の他、歴代自治会長の皆さんからの情報や意見を広く取り上げています。また、具体的な支援やフォローについて、初年度から不動の開設リーダーを引き受けてもらっているNさん、直近では副会長のTさん、自治会長の皆さん、そのほか多くのご関係の皆さんにご尽力いただいています。
(5)女性部の活躍。
戦後の婦人会より現在の女性部に遷移し、その経験者を活かし食の人材を集約する形で地区内に「子ども食堂」が成立しています。そうした「子ども食堂」の有志に、公民館運営委員会女性部、自治会女性部が加わり、今回、見事に「炊出し」を成功させてくれました。
所感
(1) 女性部の存続。
被災地へ外部からの炊出し支援が入っても、訓練なき被災地では手伝いが伴わないと言われていますが、このような事態を改善したり、地区福祉を維持するためにも、今後も将来にわたり女性部の存続を図るべきです。
(2)今回の訓練に「子ども会」を招いた意味。
一般的に、若い世代は、労働力不足の渦中にあるなど社会環境の悪化により地域に関わる余裕を失う結果、自己保身意識となり自治会非加入者となる傾向が強い。このことは、せめて子育て中の子ども会行事等に参加経験を持たせねば老年に至っても社会的に孤立しかねないと思料。特に地区防災では、自治会非加入にこだわらず全世代の参加が必要。
(3)公的支援の3週間遅延想定。
この想定が浸透するだけでも減災効果があるものと思料。
(4)過去3回の避難所開設編実働訓練で学んだこと。《雑記》
・地震震源が遠ければ遠いほど長周期振動となるため、土地の成り立ち(粘土質・砂質)に関係なく揺れること。
・防災意識は高くとも、自宅から外に動けない高齢世帯の増加。(社協にて要避難支援者名簿を持つも、それから先は担い手不足)
・被害想定に対する避難者収容面積の圧倒的不足。(最大クラス想定では、上の写真の3倍の避難者が殺到する。)
・小学校放送設備による指示は、静粛な場面では有効でも、群衆には無効(経験のないほどの騒音で消される)であり、有効な指示は、事前の周知や訓練が必須となること。緊急対応は、大きく文字による掲示が適切。
・群衆は、直感・思い付き・誤認による意見具申が多いため、大所高所の知見による方針や諸施策、具体策を準備すること。
・地域社会に対する協力意識を持つ人材の地域別、年齢別、職務経験別、自治会加入非加入別の地区内分布。
・企画面の合意形成における特徴は、現状認識力の個人差が極めて大きい分野であること。このため、共通認識醸成に注力を要すこと。
・自治会加入率は低下傾向も、太鼓台保存会など伝統文化を基に自治会員の結束は強いこと。
・自治会加入率は低下傾向も、自治会員絶対人口として、推定2650人が存在。自治会協議会としては、2650人への防災対応が必須であること。